医療機関においては、様々な法的問題が発生することも多いです。
もっとも、医師は法律の専門家ではありませんし、医療業務で忙しいのが現実です。
したがって、医療機関に顧問弁護士を設けておくことは、法的トラブルに備える上で重要だといえます。
本稿では、医療機関の顧問弁護士について、役割と重要性を解説していきます。

医療機関の顧問弁護士の役割

医療機関の顧問弁護士とは、医療機関との間で顧問契約を結び、法的な助言を与えたり、法的トラブルを解決したりする弁護士のことをいいます。
一般的な顧問弁護士は、法的トラブルが起こった際の解決はもちろんのこと、トラブルが起こるのを予防する役割を担っています。
医療機関における顧問弁護士の役割もこれに準じ、広告が規制に引っかかることがないか確認したり、法的リスクについてのアドバイスを行ったりとトラブルの予防を行うほか、実際に患者からクレームが入ったり、医療事故が起こってしまったりした際の対処などを主に行うことになります。
以下、医療機関の顧問弁護士に特有の役割について具体的に説明します。
まず挙げられるのが、患者からのクレーム等についての相談を受けることです。
医療機関では患者に医療行為を施すという性質上、患者に不満が生じた場合クレームが発生しやすいです。
もっとも、クレームの中には不当なものも多く、医療機関の側に問題がない場合でもトラブルが大事になってしまう場合もあります。
顧問弁護士はこのようなトラブルに対する相談を受け、適切な対処法を提案することができます。
次に挙げられるのが、従業員の労務に関する相談を受けることです。
医療機関においても通常の会社と同様に従業員は数多く存在するため、その中で給与やハラスメントなど、労務に関わるトラブルが起こることが想定されます。
顧問弁護士は、日頃から労務への相談を受け付けたり、就業規則などを整備したりすることで、未然にトラブルを防止します。実際にトラブルが起こってしまった場合でも、法的知識を活かして早期解決を図ることが可能です。

また、医療費未払いに対する対応も挙げられます。
患者が医療費を未払いでいる場合、医療機関の存続のためにもこれを回収することは必須です。医療費が高かったり、患者が死に瀕していたりする場合には、特に対策が必要となります。

顧問弁護士は医療費未払いに対する対応のマニュアルを作成したり、内容証明郵便などにより支払いを促したりすることが可能です。
また、どうしても支払いを受けられない場合は、弁護士に訴訟代理人として委任することも可能です。

医療機関の顧問弁護士の重要性

医療機関においては、顧問弁護士の存在が重要になってきます。
以下、その理由について解説していきます。

医療スタッフの手間を削減できる

医者を初めとした医療スタッフは、自らの業務で常に忙しい場合が多いです。
そのような状況下で、法律問題についても対処しなければならないとなると、その負担は莫大なものになります。
そこで、法的知識に詳しく、医療機関の経営についての知識も備えている弁護士を顧問としておけば、適切な対処や助言を期待でき、手間の削減に繋がります。

迅速な問題解決を図ることができる

医療機関において、問題が起きてから弁護士に依頼すると、弁護士選びや相談など多くの過程を経由してしまうため、問題解決までに時間がかかってしまいます。
あらかじめ顧問弁護士と契約することで、当該弁護士に迅速な相談が可能となり、問題の早期解決に繋がります。

自らの医療機関についてよく知っている

顧問弁護士をつけることにより、自らの医療機関に固有の経営問題や悩み事などについて相談し、知っておいてもらうことが可能です。
法的問題が起こった際にも、それらの情報を知っている弁護士であれば、より適切な対処が可能な場合が多いです。

紛争の予防ができる

顧問弁護士は、法的な紛争の予防のため、労務管理や医療安全管理体制構築など、法的な体制の整備に携わることが可能です。
問題が起きてから都度弁護士に相談する場合と異なり、顧問弁護士を選定することで、予防についても万全の状態が整えられるでしょう。

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